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メモには営業部に来るよう伝言が書かれている。
芳田は僕と同期で営業部に所属していた。PCや配線より口を動かす方が得意。
「僕としては行きたくないなぁ。」
珈琲の白いカップを指で弾く。
「急ぎの仕事でもあるんですか?」
仕事はあるけど急ぎじゃない。芳田に押し付けられそうなモノが、嫌なんだよね。
しばらく開発部でうだうだしていたけど、仕方なしに営業部へ向かう。
エレベーターのボタンを、押す指が微妙に重い。
芳田の奴、絶対厄介な客を廻して来るつもりだ。
「失礼、芳田係長は居るかな?」
営業部の女性に尋ねる。
「お、来た来た宝田。遅いぞ。」
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