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細い腕が天井に向かって伸びて、ぽってりした赤い唇が動いた
何かを言っているのは分かるけど、横からじゃ唇を読むことは出来ない
僕は膝で歩き、じゃじゃ馬の傍に寄った
『りょう………どうして………』
りょう…?誰かの名前?
垂れ目の琥珀は見ることは出来ない
でも、今にも泣きそうな哀しげな表情に思わず見とれてしまう
『りょう……どうしてこんなこと……』
天井に伸ばしていた手が腹を押さえる
じゃじゃ馬に瀕死の傷を負わせた相手が『りょう』ってヤツか……知り合いなのか!!
撃たれた時の夢なのは何となく分かった
そして、もう一つ分かったのは………
じゃじゃ馬を撃った相手はじゃじゃ馬にとって身近な人間だったのかもしれない
気の強いじゃじゃ馬なら怒り狂って暴言吐いてもおかしくない
だが、怒りではなく哀しいとその小さな身体が表していた
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