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静かに涙を流し続ける心千花を抱き上げ、部屋へと戻ってきた
濡れた夜着を脱がせ、冷え切った体温を暖めるように抱きしめた
壊れてしまったように流れ続ける涙は僕の腕を濡らしていく
いっそのこと、泣きじゃくってくれた方がいい
嗚咽さえ漏らさず、ただただ、表情を失くして涙だけが零れ落ちる
本当に哀しい涙はこんな風に流すものなのだろうか
腕の中にいる心千花の心はここにはない
僕を見ていない瞳
他の男を思って流す涙
胸の奥底から湧き上がるような苛立ち
それとは相反する熱くなっていく胸
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