2/7
前へ
/2939ページ
次へ
「もう、いややわぁ。梅はんたらぁ」 馴染みの菊香(きくか)を朝目覚めても求めた こんなにゆっくりするのは、本当に久しぶりだった 今度から稔麿とは別行動にしよう 何度目かも分からない高みに満足しながら、心底そう思った 菊香に見送られ、既に賑わう町を気だるい体で歩く 「壬生浪(みぶろ)や」 「何や、あのダンダラ。趣味悪いわ」 町娘たちの潜めた声に振り返れば、浅葱の隊服を身に纏い、闊歩する数人が歩いてくるところだった 巡察か 幕府の犬である壬生浪士組は京の守護が命だが、京の人間には嫌われていた .
/2939ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7838人が本棚に入れています
本棚に追加