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「稔麿はね、昔は今みたいによく笑っていたよ。捻くれたところもあったが、今の稔麿が本当の稔麿だ。松陰先生が亡くなってから、自分の殻に閉じこもってしまったんだ。そこから出したのは、心千花、おまえだよ」
大きな手があたしの頭を愛しげに撫でた
「ありがとう、心千花」
その言葉はあたしの胸を熱くする
瀕死の怪我を負った死に掛けのあたしを拾い、治療して、ここに置いてくれた
まだ、恩返しという恩返しは出来てない
礼を言っても足りないのはあたしの方なのに
「心千花がここにいるだけで、稔麿や晋作、私も心が穏やかになるんだよ。稔麿のこと、よろしく頼む」
頭を下げる桂が込み上げた涙でぼやけた
ここに来て良かった・・・
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