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それから少し経ち、愛理沙が遠くからトボトボ歩いてきた。その姿はどこか悲しく、元気がない。ダメだったんだ。
「愛理沙……」
愛理沙は私の言葉を無視し、私の隣りに腰掛けた。
「ハァ……」
と、一つ溜め息をついた愛理沙。その次に出てきた言葉は、私にはよくわからないものだった。
「ねぇ千鶴、るみって誰かな?」
るみ……瑠美!?
「瑠美……愛理沙、あんたが告白した人って」
真希が反応した。
「霧島君だよ」
そして私が答えた。
「竜……瑠美についてなんか言ってた?」
竜とは霧島君の名前だ。真希、もしかしたら知り合いなのかな?
「霧島君ね、私が告白したらさ、『俺は瑠美のことが忘れられないんだ、ごめん』って」
愛理沙はうつむいてしまった。そしてすぐに顔を不意に上げ。
「ねぇ、瑠美ってだれ? 霧島君にとっての何なの?」
愛理沙は勢いよく真希の肩を掴み、真希を揺さぶる。
「愛理沙……」
「何?」
「竜の過去……聞きたい?」
真希はそう言った。
「知ってるの?」
「大体は……ね、聞きたい?」
「うん、聞かせて」
私は二人のやりとりを、ただ聞いていた。
そして真希は、霧島君にあった、悲しい過去を話しだした。
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