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暑い日差しが照りつける繁華街。
日曜日だけあって街中はたくさんの若者が練り歩いている。
「あとどこ行くんだよ~」
両手いっぱいに握りしめた買い物袋達。
荷物持ちと化した俺をよそに、姉貴は楽しそうにウィンドウショッピングをしている。
「久しぶりに彰と買い物出来るんだもん。いろいろ見たいのっ」
姉貴は俺にそう言って、
気になった店へ勝手に1人入って行く。
「ったく」
破天荒な行動にハァーとつい深いため息をつく俺。
しかし姉貴が楽しそうにしている姿を見ると、
こっちまで楽しい気持ちになってくる。
「彰、ちょっときて!」
めぼしい商品を見つけたのか、手招きして俺を呼ぶ姉貴。
「どっちが可愛いと思う?」
俺が店内に入るやいなやレディースものの服を2点照らし合わせて聞いてきた。
「どっちでもいいんじゃね~?」
「もう!真剣に考えてよっ」
その時、俺達の会話を聞いていた店員が近寄ってきた。
「彼氏さんは何色がお好みなんですか~」
“彼氏”
「あっ、彼は私の弟です」
“弟”
ーーそんな顔して言わなくても。
店員の言葉に姉貴が苦笑いして答えた。
一生彼氏にはなれないとわかっていても心が姉貴を求めてしまう
その声も体も
吐息さえも独り占めしたくなってしまう
報われない想いにいつか終止符が打たれる時まで
俺は姉貴を愛し続ける
たとえ常識に反し神をも欺き通してでも
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