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世の中には何億人もの男女がいるなのに
何で何で
俺達は姉弟なんだーーーー
「姉貴ー、朝だぞ」
築40年の古いアパート。
2LDKの小さな部屋に響く声。
「姉貴…!」
エプロン姿の俺が部屋の扉をガラッと開けると、
「ちゃんと起きてるって」
身支度をしっかりして、テーブルの前に座っていた姉貴。
折りたたみの鏡と化粧品道具があって、化粧中だったらしい。
「返事ぐらいしろよな」
「今、ちゃんとしたでしょ?」
「そういう問題じゃなくて」
「じゃどういう問題?」
あー言えばこー言う。
口をへの字に曲げて話す俺に姉貴は余裕の笑みで返してきた。
「今そっち行くね」
姉貴は化粧道具を片付け始めた。
俺はその余裕ある態度にムッとしながらも部屋を後に、
再びキッチンに戻った。
「あっ卵焼きがある!彰が作った卵焼き、甘くて美味しいんだよね」
ダイニングテーブルに並んだ朝ご飯を見て、
姉貴が嬉しそうに喜んだ。
「弁当にも入れといたから」
俺はそう言ってバンダナで包んだ弁当箱を姉貴に差し出す。
「ありがと」
ニコッと笑って受け取ったその笑顔を見て、
思わず頬がカッと熱くなるのを感じた。
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