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「何買った……!」
俺に近づきぶら下げたコンビニの袋の中身を覗き込むと、
何か思い出したかのように驚いた表情をした。
「ごめん彰!晩御飯……!!」
「いいって。帰ってもいなかったから仕事で遅くなるんだろうなって思ってたからさ」
俺達は家事全般を分担制にしている。
朝は姉貴が先に家を出るので、俺が弁当と朝ご飯。
夜は基本的姉貴の方が帰宅が早いので晩御飯担当。
あとの家事は出来る人がやるという決まりになっているのだ。
「姉貴も晩飯まだだろ?ちゃんと2つ買っておいたから!」
申し訳なさそうな顔色を浮かべる姉貴にニッと笑って俺が声をかけた。
「……ありがと彰」
曇っていた表情が少しだけ明るくなり、
姉貴はそっと笑顔を浮かべた。
「最近太り気味の姉貴には、低カロリーの……」
「ちょっ!こんな場所でそんな事言わないでよっ!」
国道沿いの歩道にはたくさんの人が行き交っている。
そのど真ん中で騒ぐ俺達を、周りの人間が白い目で見つめていた。
「ごちそうさま」
「ごちそうさん」
テーブルの上には空になった弁当や総菜のトレーが並ぶ。
「私がやるから彰はゆっくりしてて」
姉貴はそう言って椅子から立ち上がり片付け始めた。
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