Act.1 神ヲ欺いて

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「ね?買い物付き合ってくれない?」 週末、たまたま部活が休みで俺は久しぶりに家でのんびり過ごしていた。 「買い物?」 「1人で行くの、なんかつまんないし。どうせ家にいてもやる事無いんでしょ?だったらたまには一緒に出かけようよ」 リビングのソファーでバスケの専門雑誌を見ていた俺に、 身支度を済ませた姉貴が声を弾ませて話しかけてきた。 ーーそーいや姉貴と最後に出かけたのいつだったかな? 記憶をさかのぼっても思い出せない俺。 土日は殆どが練習で家にいる事などめったに無いのだ。 「しょうがねーな。付き合ってやっか」 そう言って雑誌をたたむ俺の姿に、姉貴は大喜び。 早く早く!と満面の笑みで俺をせかしてくる始末だ。 ーー無邪気だなぁ。 年上とは思えない子供のような姿に思わず俺も笑ってしまう。 そういうところが俺の心を掴んで離さないのかもしれない。 “俺、姉貴の事好きだ” そう感じたのは中学2の寒い冬の日だった。 学校の帰りにたまたま家の近くで姉貴を見つけた俺。 制服姿で辺りを見回しながら誰かを探している様子だった。
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