45人が本棚に入れています
本棚に追加
「ね?買い物付き合ってくれない?」
週末、たまたま部活が休みで俺は久しぶりに家でのんびり過ごしていた。
「買い物?」
「1人で行くの、なんかつまんないし。どうせ家にいてもやる事無いんでしょ?だったらたまには一緒に出かけようよ」
リビングのソファーでバスケの専門雑誌を見ていた俺に、
身支度を済ませた姉貴が声を弾ませて話しかけてきた。
ーーそーいや姉貴と最後に出かけたのいつだったかな?
記憶をさかのぼっても思い出せない俺。
土日は殆どが練習で家にいる事などめったに無いのだ。
「しょうがねーな。付き合ってやっか」
そう言って雑誌をたたむ俺の姿に、姉貴は大喜び。
早く早く!と満面の笑みで俺をせかしてくる始末だ。
ーー無邪気だなぁ。
年上とは思えない子供のような姿に思わず俺も笑ってしまう。
そういうところが俺の心を掴んで離さないのかもしれない。
“俺、姉貴の事好きだ”
そう感じたのは中学2の寒い冬の日だった。
学校の帰りにたまたま家の近くで姉貴を見つけた俺。
制服姿で辺りを見回しながら誰かを探している様子だった。
最初のコメントを投稿しよう!