「私」と「僕」

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いつの間にかコピーは終わっていて コピー用紙は部員数分のプリントになっていた 私はそのプリントを綾芽に手渡してから 「はい、これは綾芽がもって行きなよ…秋月の所までさ」 「四季ちゃん…ありがとう」 その「ありがとう」は何に対してのありがとうだったのかは知らない でもその言葉も胸に突き刺さった 「良いの良いの、私、ちょっと保健室行ってくるね」 「大丈夫?ついて行こうか?」 「平気、私は良いから早く行っておいでよ」 「うん…あっ、四季ちゃん」 ふと綾芽に呼び止められる 振り返ると綾芽は笑顔で 「もし四季ちゃんが男の子だったら、私は四季ちゃんに惚れてたと思うわ」 “男の子だったら” 「……ん、そうか」 それ以上の言葉はもう出てこなかった それ以上は、聞きたくなかった… 皆の居るグラウンドに向かって歩いている頼りない背中 正面からぶつかれなかったその背中に向かって小さく 「好きだよ…」 と呟き 遅れて僕の頬を伝った雫が地面に落ちた ~END~
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