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序章
私が物心ついたころにはもう居留区があった。
山一つ買い取って作られた大きなドーム型の建物、そこに死のウィルスに感染した人は集められる。
入口には守衛がいて、その入口もセキュリティ万全の上、埃一つ入らない設計になっている。
感染する恐れがあるからそこには決して近づいてはいけない。小さいときから大人たちにそう言われて育った。
公表されているのはそれくらいだ。
そのウィルスがどんな作用を引き起こすのか、どのように感染するのかなど、詳しい事は誰も知らない。
小さい頃は冒険心に居留区に近付いて、守衛によく怒られていた。
昔は怒られるだけで済んでいたのだ。
それが今は――
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