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月が静かに輝く神無月の夜。
週末の街を歩く人々は足早に家路へと急いでいる。
すれ違う人ばかりが多くなっていく並木道を、真柄鞘(まがら しょう)は人々の波に逆らって歩いていた。
特に用事があるわけでもなかった。
ただ心が落ち着かず、家にいる気にならない、というよくわからない衝動から、家を飛び出してきたのだった。
それは、どこか得体のしれない胸騒ぎだったのかもしれない。
普段ならこんな時間に家の敷地内から出ることのない鞘(しょう)を駆り立てたものが何なのか、彼自信にもわからなかった。
そう、その光景に出会うまではーーーーー
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