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= 蘭殊side =
1人部屋は嫌い。
自分しかいない空間になれていないから、この静かな動かない空気が辛い。
小さい頃からいつも唯士が隣にいてくれた。忙しい両親よりも、無表情の使用人よりも、誰よりも近くに当たり前のように唯士がいてくれて、どれだけ救われて来ただろうか。
ずっと一番近くにいてくれる、寂しくて伸ばした手を受け止めてくれる、そう信じてた。
唯士の存在はどんどん大きくなり、友情が愛情に変わっていくのは自然の流れだったと思う。
だけど‥‥僕の気持ちが唯士に傾けば傾くほど、唯士は僕との距離を取り出した。
そして僕を貫いていく言葉
「好きな奴がいるんだ」
「驚け! 向こうから告白してくれたんだ! やべっ、俺、今サイコーに幸せ」
「やっと、キスしたぞ」
唯士を大地に取られてしまった。
僕の場所、僕だけの場所だった唯士の隣は、あっさりと大地の物になり、唯士のNo.1は僕から大地になった。
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