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幸せそうに大地との恋愛を語る唯士、笑って聞きながら心の中は切り裂かれていく。
それでも隣りにいたくて、
苦しくて辛くて、
だけどそれ以上に愛しくてただ恋しくて‥‥‥、
側を離れると幼なじみとしての地位まで奪われるんじゃないかと不安で、どんなに苦しんだとしても唯士の隣りは誰にも譲りたくなかった。
だから転校話が出た時、唯士と大地を引き裂くなら今しかないって思った。
一緒じゃなきゃ嫌だって子供染みた言い分を貫き通し、唯士の親にはお願いしますと泣き落とし、唯士の頑な反対の態度は無視した。
勿論泣き崩れる大地は、視界に入れない、気づかない事にして、ただ自分の我が儘を通して、この学園にやってきた。
唯士が大地と過ごした時間は、僕と唯士が歩んできた時間とは比べものにならないくらいの短さだ。
だからきっと忘れてくれる。
唯士の一番近くは僕、
僕だけが唯士の事をちゃんと愛してる。
なのに今の僕は何なんだろう。
大地と引き裂いたと恨まれて、王道転校生?みたいな事をしろと命令されて‥‥、こんな唯士と離れた部屋に独りぼっち、ベッドに膝を抱きかかえて座ってるなんて。
独りぼっちは……怖い。
この静けさが全てを否定されているようで、嫌だ。
唯士、助けてよ。
側にいてほしい………。
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