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ガタン!
薄い壁の向こうから大きな物音がした
いつものことだが、びっくりする
そして何人かの笑い声
隣は大学生の男の子が住んでいる
友達が多いらしく女の子も男の子もしょっちゅう出入りしていた
彼はいつもゴミ出しの曜日を守らず、ゴミ捨て場にカラスやノラ犬を集めていると『評判』だ
『宴』の後のゴミ出しは特に酷く、大家さんによく注意されていた
そんな彼が一度だけ早朝にゴミを出しているところに出くわしたことがあった
職場の朝市の準備のために朝6時に出勤しようとしていた日のことだった
部屋から出て鍵をかけていると、パーカーのフードを目深に被った彼は大きな透明なゴミ袋を抱えて部屋から出てきた
一応挨拶しよう頭を下げたときだ
透明なゴミ袋の中の色とりどりの女性物の下着やコスプレコスチュームが目に入った
彼は慌ててゴミ袋を隠そうとして落とした
ちゃんと口を結んでいなかったのか、カラフルな布は辺りに咲いた
驚きはしたが、拾うのを手伝おうと手を伸ばすと、彼は撃たれたようにそのまま部屋に引き返した
呆気にとられた私は、その中に最近買ったばかりの私のパンティによく似たものをみつけた
そういえば、一度洗濯してから見ていない
パンティに触れると死んだ精液の臭いがした
閉めたばかりの鍵を開け、キッチンに置いておいた不透明のナイロン袋を持ち出し、彼の落とした残骸を詰めた
まだ湿ったものもあった
ドアの向こうには気配がある
堅く口を結び、再び透明なゴミ袋に入れた
ゴミ袋に名前は書いていなかった
このままそこに置いておこうかとも考えたが、ゴミ捨て場に出した
職場に着くまで私の鼻は青臭い若い雄の臭いに噎せた
その日帰るとポストの中にピンク色の紙袋が入っていた
中には赤いサテンと黒いリボンの紐パンが入っていた
新品だった
壁の向こうには息を殺して成り行きに聞き耳を立てる雄がいる
私は気づかなかったフリをしてパンティをしまった
今その彼の部屋には男の子たちが遊びにきている
まとめていた髪をほどき、下着を脱ぎ捨てた
タンスの奥から赤いサテンと黒いリボンのパンティを引っ張り出した
トシの白い大きなシャツを羽織る
勃起した乳首と赤いパンティが透けている
ゴミ箱からビールを拾い上げ、飲み干した
最近あまり履かなくなった赤いミュールを出し、鍵を開けた
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