プロローグ 今日これから始まるNINJA(わたし)の伝説

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「隊長!ごみ処理場から装甲車、違う!戦車が出てきた!」 案の定だ。正面に中東でエイブラムス共が散々スクラップにしてきた東側の旧式戦車、T-72が無限軌道特有の駆動音を上げながら躍り出てきた。俺達を料理する為に。 生憎、こっちは対戦車装備なんて持って来ていない。当たり前だ、米兵に牙を剥く戦車なんて合衆国内にある訳がない……が、現実問題として、今、目の前にいる。 「シィィィィィット!!」 恐慌状態に陥った隊員の一人が命令を待たずに立ち上がり、M16を乱射すると、ビビった他の連中も奇声を発しながら乱射を始める。 「止めろクソッタレ共が!戦車に5.56mmNATOなんぞ効くか!」 5.56mmNATO弾は高初速の"対人用"の弾丸であり、対装甲目標、ましてや戦車を相手にする様な弾丸ではない。T-72もどういった訳か停車したままだが、確実にこちらの攻撃の影響ではない。 「総員退避だ!退避ぃ!」 どうにか檄が届いたのか、恐慌状態に陥った隊員も無駄弾の消費を止め、後退するための牽制弾――T-72の陰に隠れている随伴歩兵に対して――を撃ち、相互支援を行いながら後退していく。 だが、逃してくれる気は当然ながら奴さんには無いようで、T-72はその125mm滑腔砲を載せた砲塔は静かに旋回し、砲身を俺達へと向けた。
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