プロローグ 今日これから始まるNINJA(わたし)の伝説

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破壊の象徴であるその砲身は、俺達へと向けられた。 装填されている砲弾にもよるが、その砲弾は確実に俺達を挽き肉や黒焦げステーキ、もしくは肉片へと変えるだろう。 「クソッタレ!クソッタレ!クソッタレェェェ!」 もう破れかぶれだ、俺は撤退を諦め、陸の王者に立ち向かうには余りにもちっぽけな小銃の引金を引いた。 銃弾は虚しく厚い装甲に弾かれる。そして砲身は、極限まで我慢した力を一気に解放するように文字通り火を吹いた。 空軍のラプターなんかよりずっと早い筈の砲弾が届くまでの時間は、不思議な事に非常に長く感じられた。というより、いつまで経ってもこっちには来ない。そしてあろうことか、弾着の音が右の路地から聞こえた。 「いやー砲弾なんて蹴り飛ばすの初めてだわー。 オレサマって実は仮面ライダーの才能あんのかも!?」 目の前には黒装束を全身身に纏った人間……声から察すると男が、脚をトタトタと足踏みをしてはしゃいでいた。 …… 蹴 り 飛 ば し た ? この男は確かに言った。さっきの戦車砲弾を蹴り飛ばしたと。俺は正気なのだろうか? 夢でだってこんなトンチンカンなセリフは飛び出さないぞ? するとそのトンチンカンな男は振り向き、無邪気さを隠そうともせずに言い放った。 「なぁおっさん、あの戦車をオレサマがぶっ壊したら最高にかっちょいいよな?」
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