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「かっちょ……いい……?」
嘘と冗談がいっぺんに頭の中に雪崩れ込んでいた俺には、なんとなく聞き取れた日本語をただおうむ返しにすることしかできなかった。
「ま、ドンパチうっせぇからどのみちぶっ壊すんだけど。そこんとこよろ~」
黒装束は走り出した。その速さはまるでマンガの世界のようだ。走った跡は摩擦熱でだろうか、地面が発火している。
間合いを詰めると今度は跳躍、それも一瞬でビル三階あたりまで届く様な大ジャンプをしてどこからともなくライフルを取り出す……それもかなり古い、恐らくあれはM1ガーランドだ。先端には何か付いており、それをT-72の直上へ撃ち出す。その何かは砲塔上部の装甲をぶち抜き、内部へ貫通すると爆発を起こしたようで、さらに砲弾が引火したのか断続的に爆発を起こし、唖然としていた随伴歩兵を吹き飛ばしている。
それで、ぶっぱなした当の本人はどこへ行ったのか。周囲を見回すとビルの壁に張り付いていた。
そこからM1ガーランドをごみ処理場へと、クリップを装填しながら連射している。それもしばらくすると終わり、何を思ったのか俺の方向へ跳躍してきた。
「工場ん中のヘータイもたんぱく質にしてきたぜ! どうよ、かっちょいいべ!?」
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