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アニー達が帰って数時間、蒼空は報告書や溜まった書類を片付けていた。
『あぁーっ!やぁーっと終わったーーっ!!』
書類整理が終わり、凝った身体を解しながら何気なく窓の外に目をやると、空は茜色になり、ひとすじの光が部屋に射し込んでいた。
『うわぁー、もぉ夕暮れかぁ…そろそろ帰らないとな』
暫くデスクにうつ伏せになってだらけていた蒼空だが、一本の電話によってその表情は引き締められた。
―――プルルルル!!
『はい。こちらロンドン第7消防署です。』
落ち着いた声で応対すると電話の向こうで女の焦っているような声がした
――あっ、あのっ!
そちらにソラ・イマイって方はいらっしゃいますか?!――
『ソラ・イマイは私ですが貴女は?』
焦る相手を落ち着けるように穏やかにゆっくりと受け答える蒼空
そんな蒼空の声に落ち着いたのか電話の相手は深呼吸してから応えた
――私はテルブルク総合病院の看護師のマリアと言います。
さっそく本題ですが、先ほど貴方のお父様のタカヒロ・イマイ様が帰宅途中に地下鉄ジャックに巻き込まれ重症し、当病院に搬送されて来ておりますので至急此方までいらして下さい。
あと、出来れば応急手当てのお手伝いをしていだだけないでしょうか?
怪我人があまりにも多すぎるのです…――
マリアの言葉に少しの間呆けていた蒼空だが、直ぐに気を取り直して応じた
『わかりました。
直ぐにそちらに向かいますので父を宜しくお願いします』
そう言い終わるや否や蒼空は自分の背丈の半分はある大きさの医療道具を2つ背負い、駆け足で廊下に出ていった
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