プロローグ

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カチッ、カチッカチッ。 カタッ、カタタッ。 「明日から夏休みが始まるわけだが、校長先生のお話は覚えているよな?まず1つ目は…」 7月27日。 1学期最後のホームルーム。 三守【みつも】高校のとある教室では、おかしな三重奏が響いていた。 カチッ、カチッ。 カタッ、カタカタ。 「この夏で来年の勝負が決まると言っても良いぐらいだ、1年の時みたいに遊んでると9月で痛い目みるからな。特にそこの2人--てめーら舐めてんのか!」 怒号と共に教卓が殴られる。 ピーン、と空気が張り詰めるが、おかしな音は止まない。 生徒達が振り向いた先には2人の少年。 大勢の視線には堪えたのか、少年達は下に向けていた視線をゆっくりと前に戻した。 「最後のホームルームだからって何やってんだ、お前らは!…オラ、両手出してみろ」 凄みが効いた怒声が響く。 もう教師のそれではなく、ヤクザの脅しに近い。 しかし、二人は従わない。 手は机の中に置いたまま、視線を壁の時計に向ける。
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