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ひとしきり担任教師と日本情勢について悪く言った後、話題が夏休みの計画にシフトしたところで二人は頭に衝撃を受けた。
たまらず振り返った草壁が口を開く。
「おいリュータ、英和は無いだろ英和は。意識飛ぶとこだったぞ」
声の先には、両手に分厚い辞書を持った眼鏡の少年。
彼の名は瀬戸 龍太【せと りゅうた】。
矢形とは対照的に、その身長は180センチをゆうに越している。
「い、いや、だっ、だだだから僕は…」
のだが、気は遥かに小さく、気心知れた彼らに対しても吃る。
「何だよコミュ障。言いたい事あるなら言えるようになってから来やがれこのコミュ障。大事な事なので二度言いましたー!」
「アキヒコ、お前はその口の悪さを直してこい」
「は?ちょっと何お前命令してんの何様のつもりだコ…」
ゴスッ、と一昔前のヤンキーばりに草壁の胸倉を掴み掛かろうとした矢倉を、瀬戸が頸部を辞書で殴って止める。
一瞬白目をむく矢形だったが、落ちるのは回避できたらしい。
ただし、また殴られるのを警戒しているのか口は閉ざした。
「ま、またホームルーム中に、だだ駄目な事してる、って」
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