飛べないヒバリ

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ポンチョのような布きれに、藍色の長いマフラー。 潮風に、そのマフラーが揺れている。 男はほぼ毎日のようにここに来ては、こうして船と、沈む夕日を眺めていた。 まだ三十路もいかない、若い青年であった。 ポケットからおもむろに、片手に収まる程のブルースハープを手に取ると、 そのハーモニカの音色が、切なく、サウスの港に流れ出す。
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