白か黒か(1)

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「ん?……あぁ、すまねぇ。ちっと考え事しててな」 腰からの鈍い音に気付いて、ようやく我に返ったが、 男は口から泡を吹いてグッタリしている。 詫びる様子も焦る様子もなく、ひとしきりまた考え事をして、しばらくすると、 「よし!決めた!」 そう言って、ぼろいTシャツに下は黒い作務衣という姿の上から、長いよもぎ色の着物をだらし無く羽織り、出掛ける支度を始めた。
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