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幼い頃の記憶を思い出しながら、手紙の内容を思い出す。
保育所の皆様一同様と輝(アキラ)と閑(シズカ)へ
急な便りで申し訳無いと始めに謝っておきます。
ごめんなさい。
・・・どうか、輝と閑を引き取っては貰えませんでしょうか?
とは、言っても私はもう戻れないのですが。
勝手な申し出を許して戴きたい。
この度、輝と閑の母である中島 妙(ナカジマ タエ)が交通事故で亡くなってしまいました。
・・・私は妻の後を追います・・・。
きっと、一人で寂しがっているはずだから。
・・・幼い息子と娘を置いていくと言うのは、とても後ろ髪を引かれる思いです。
どうか我が息子と娘が、私達の分も長く・・・そして輝かしい未来がありますように。
中島 勲(ナカジマ イサム)
こんな手紙一枚で僕も閑もある意味天涯孤独の身となり、誰も信じられなくなっていった。
勝手だよ。
親なんてさ。
子供をおいてけぼりににするくらいなら、最初から産むなよ!
って、何度も行き場の無い怒りを何かしらにぶつけていた。
子供だけ残す予定で産むはずがないと、気付くのは僕と閑が小学生になってからだった。
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