常闇

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結局僕達は施設へと預けられた。 そりゃ、そうだと思う。 一人ならまだしも双子である。 それに人様の子供を引き取るなんて、そうそう出来る事じゃない。 施設に入って二年が経った。 僕達は他の子供と喋る事なく、ただ僕達の時間を過ごしていた。 「・・・」 「・・・」 お互いに無言。 喋らなくても相手が何を考えているのか、手に取るように解る。 それが双子の双子たる双子の由縁。 って言うのは言い過ぎかな。 とある日、そんな毎日を過ごしていた僕達の前に一人の男が現れた。 「今日から君達は俺の家族だ!!」 「・・・」 「・・・」 内容も脈絡もすっ飛ばして、そんな事を宣った。 いつもは無言な僕達だったが、会話のキャッチボールを教えたくなるような男に閑が口を開いた。 「・・・きもい」 「ガーンっ!」 閑の発言に僕もはげど。 しかも、床に倒れ込み擬音を口に出すような男だ、正直関わりたくない。 「そちらは、片山 尚之さん。貴女方のお父さんになってくれる方よ」 と、施設の職員は言う。 お父さんになる人、と言われても何故いきなりなのかも解らないし、困り果てた僕は閑の顔を見た。 「・・・」 どうやら閑も同じ思いのようだ。 「怖がる事は何もない!今日から俺がお父さんにだ!遠慮は要らない、パパと呼べ!」 「「・・・きもい」」 「ガーンっ!!」 僕と閑の言葉に再度倒れ込み、頭を抱えている。 変なの。 僕が訝しげにうちひしがれてる男を見ていると。 「・・・くすっ・・・」 閑が笑った。 クララが立った並みに僕は驚いた。 かくいう僕も半ば呆れながら男を見ていたが、なんというか、こう、よく解らないが何か温かい気がした。 そうして、紆余曲折あり僕達は片山家の一員となった。
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