恋色マスタースパーク

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その日の昼休み。 「朔ー姉ちゃんがきてやったぞー!ひれ伏せ!」 「・・・」 昼休みのチャイムと共に、教室の戸をぶち壊しながら二番目の姉、ゆかりがログイン。 同級生達は唖然。 そりゃそうさ、僕も唖然。 「なんだお前ら、俺の言葉が聞こえないのか・・・?」 辺りを見回しながら、ふつふつどどす黒いオーラが滲み出してくる。 「総長の俺に同じ事を何べんも言わせんじゃねー!!」 「「「す、すいません!!」」」 某ロボットアニメの暴走モードよろしく、ゆかり姉が御乱心だ。 その様子に、ガクブルな同級生達は光の速さでひれ伏した。 「よしよし、さて朔」 なにやら妙な笑みを浮かべながらゆかり姉が近付いてきて、僕の肩に手を置いてこう切り出した。 「お前は死なないわ、俺が殺すもの」 「ええぇぇぇぇえ!?」 微妙に台詞は変だし、僕は殺されるの? 殺される者なの? そんな僕は頭の中で夢想歌が流れている。 「冗談は置いとくか、ちょっと俺に付き合え」 「え?どっか行くの?」 「なにそっちじゃない」 そっちじゃないってどっちだよ。 いや、もう目的を教えてくれよ。 「何するのさ?」 「ナニするのさ」 なん・・・だと・・・? ここまで、品行方正、成績優秀、清く正しい僕の物語だったのに、その幻想をぶち壊すだと? 「・・・」 「頬を染めるな」 「・・・」 「閑、その蔑んだ目は止めて」 ゆかり姉は頬を少し赤く染めテレテレ。 閑は突き刺さるような、なんかゴミ虫でも見るような視線で何かを訴えてきている。 「と言うわけで、行くぞ」 「あれー?僕の意見は?」 「関係ない」 半ば強引、そして無理矢理僕の腕を掴むとずるずると引っ張られていく僕。 去っていく僕達に向かって、クラス一同で合掌していた。 畜生。
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