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取り合えず、窓の方を見ると暗かった景色が正反対になっていた。
間違いありません、朝です。
「で、起きたし着替えるから出てって」
そう言いながら僕は、自分の下半身にちらっと一瞬視線を移し戻す。
どうやら今日は、ラミエル様はまだおねむの様だ。
ひと安心。
「・・・」
「・・・なにさ?」
出てってくれと言う、僕の願いをガン無視でなにやら言いあぐねていて、後頭部を掻いたり鼻の頭を掻いたりと妙に落ち着き無い。
・・・なんだ・・・?
見た感じ何か解るものと言えば、うん。
不信感?
なんかこう・・・怪しい感じ?
「その~・・・なんだ、まぁ・・・なんつーか・・・」
「だから、なんだよ」
煮え切らない、あぁ全く持って煮え切らない。
いつもの余計な事まではっきり喋るゆかり姉らしくない。
心なしか、頬も少し赤いし視線も泳いでる。
・・・まさか、またなんかやったのか・・・?
「また、なんかやらかしたのか?」
「・・・ぅ・・・昨日は悪かったな!それだけだ馬鹿!」
「・・・」
ゆかり姉はそれだけを言うと、疾風の様に部屋から出ていってしまった。
ゆかり姉が・・・謝る・・・だと・・・?
前代未聞の由々しき事態である。
・・・べ、別にちょっと可愛いとか思ってないし。
と言うかそれよりも。
「・・・ゆかり姉、なんかごめん」
またなんかやらかしたのかと思っていたから、ちょっと罪悪感を感じ得ない。
「・・・まぁ、着替えるか」
そう一人ごちて、のそのそと寝巻きから制服に着替え終わるまで、終始さっきのゆかり姉の姿が頭から離れなかった。
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