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翌日のこと、少年が目を覚ますとテレビがついていた。
物の数が少なく、生活感はない。
テレビとベッドだけが置いてある。
そしてそれ以外はない。
「なんだ?」
「ん……」
部屋にいる、少年ではない住人はテレビを指差した。
そこには廃墟が映っていた。
地面に残された後から少年だと気付いたのかもしれない。
「なんだよ兄貴、あれを俺がやったって?」
「…………」
「なんだよ」
「お前……なんだろ?」
少年と似ているが、雰囲気は落ち着いている。
年齢も離れていなさそうだ。
ただ、決定的な違いがあるとしたら顔だった。
額に走る一本の傷跡。
ナイフで切られたかのような大きめの傷跡があった。
「陸……お前が不思議な力を持っているのは知っている」
少年……陸の兄貴は手を額にかざす。
その手から漏れる光。
一瞬で部屋を光で埋め尽くし、かざした手を陸に向けた。
陸はなんとなく知っていた。
知っていたからこそ、胸に手を当てる。
自分の兄貴に負けない光が漏れた。
「毎回そうだった。知らないことがあれば無理にでも聞き出す。この力について兄貴から教えてもらうぜ」
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