破壊の力を持つもの

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陸は明らかな戦闘態勢だったが兄貴は力を弱めた。 拍子抜け、肩透かしを食らったようだ。 「お前も知らなかったのか」 「お前も?」 「聞き出そうとしたんだ。黒い男がお前の名前を出したからな」 「黒い……」 陸は昨日の光景が蘇った。 黒い人。 廃墟を破壊した際に一瞬だけ見えた圧倒的な黒。 「まさかお前が廃墟をあんなにした理由って……」 「黒い人を倒した。その時に崩壊した」 人を殺したとは思っていなかった。 なぜなら人に感じられなかったから。 だから冷静に寝てられたのだ。 「とにかく、俺は帰る」 「あ、ああ」 「もう少し調査してみるよ。場合によっては警察を動かすし」 「……死ぬなよ」 「お前がな」 黒い人はまた現れる。 陸はそう予感していた。
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