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陸は走って近寄る。
雷を防ぎながら一歩一歩確実に。
信じたくなかった。
「未熟者は来るな」
「お前は……どうしてだよ」
「力を知らない。力を知ろうとしない人間はいらないんだ」
「な……なにを言ってるんだ」
「俺は行くぜ。力が眠る場所に」
「力が眠る……」
廃墟と黒い男が頭によぎる。
男が行った方向も廃墟だ。
後ろ姿だけどハッキリとわかる男。
「兄貴……」
考えてしまったがすぐに走り出した。
今まで人を守る側だった人間が次々と人を襲う。
電気を使うことができたから人を簡単に気絶させられたのだ。
「くそ……うわっ!」
交差点を曲がった瞬間に少女が現れた。
よく見ると同年代くらいの少女だが、儚さや色の白さから下に見える。
「なにしに行くの?」
「え?」
「力を出せないあなたが行っても……それならあなたの鍵(キー)をもらいます」
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