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少女は白く細い手を陸の胸に添える。
陸はなんの反応もしない。
しかし平気な顔をしているが汗は流れていた。
「やめろ」
手をなんとか振りほどく。
それだけで精一杯だった。
「あ、おい!」
少女は走り去る。
姿が消えるまで動くことができなかった。
「これが……力」
陸はまるで魂を掴まれた気分だった。
それと同時に同じことができそうな気分。
それが力だと実感していた。
そして、不思議な力を取り除ければ兄を止められると感じていた。
力の可能性に気付き、決意をする。
力を解放し、陸の体は輝いた。
通常よりもずっと速く、力を感じた。
「兄貴……止めてやる。未熟者じゃねえ!」
ただ、ひたすら走った。
なにかを振り払うように。
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