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「あぁ、もう。あまりひっつくな、キュウ」
「きゅう?」
街の一角にある古びたボロアパートのその一室。
そこに一人の青年と、一人の幼い女の子が暮らしていた。
「あんまり引っ付かれると飯の準備が出来ないだろ?」
青年の名前は《ユウヤ・ミナセ》
短く切り揃えられた黒の短髪に、少し童顔な顔付き。身体は遠目からでも判る程度に鍛えられた身体付きをしている。
《滅びし世界の探求者ーロスト・ハンターー》と呼ばれる非常に危険を伴う職に付く青年である。
現在、普段は身に付けないようなエプロンに身を包み絶賛料理中……なのだが、
「きゅうーーー!」
腰にしがみついて離れない宝石のように綺麗な銀色の髪をした、人形細工のように可愛らしい容姿をした幼女のせいで一向に料理が進んでいなかった。
この幼女の名前は《キュウ》
ユウヤが見つけ保護した謎の幼女で、名前もユウヤが付けたものだったりする。
なぜかユウヤに異常になついており、他の人には全然なつかなく、仕方なくユウヤが暫く預かる事になったのだ。
「きゅう! きゅう、きゅう」
名前の由来は、なぜか「きゅう」とぢかこの幼女が喋れないからという、なんともまんまな理由である。
「はぁ……まあ、ちょっと待てって。飯用意したらまた構ってやるから」
「きゅう!」
ユウヤがため息混じりでそう言うと、キュウは満足気に頷き、笑顔で台所からリビングへと引っ込んでいく。
それを見届けてから、ユウヤは止まっていた調理を再開する。
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