0人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんだ、文句あるなら食わなくてもいいんだぜ?」
「きゅう!? きゅうきゅう!」
それを聞いたキュウは目を見開いて手足を必死にバタつかせてご飯を必要だと求めている事を必死にアピールする。
その姿は、ペットの犬や猫を見ているようでユウヤの気分をなんとなく落ち着かせた。
「はは、分かった分かった。ほら、飯だ」
「きゅう!」
ユウヤがご飯を置いた瞬間、キュウは野菜炒めに鬼気迫る勢いでがっついていく。……素手で。
「おい待てキュウ! ちゃんと箸使って食べろっていつも言ってるだろう!」
「きゅうーーー!」
「止めろ! 暴れるんじゃない!」
†
ユウヤがキュウとの共同生活を始めて、もう1週間が立とうとしていた。
最初こそ、「きゅう」としか喋らないキュウとの意思疏通等には苦労していたが、慣れてみるとキュウは非常に表情豊かで行動も派手な為に何を言わんとしているか大体掴めるようになっていた。
「……きゅう……」
時間は既に深夜。
騒ぎすぎて疲れたのか、キュウは布団に入って眠りに付いている。
「まったく、呑気なもんだなこいつは」
ユウヤは寝ずに、傍らの布団で眠るキュウの顔を眺めている。
寝顔だけ見ていれば、そこら辺に溢れる普通の子供と何ら変わらない。
「けど、な……」
キュウは、普通ではない。
ユウヤがキュウと出会った時の事を思い返す。
と、その時だった。
ドバアッ!!
ユウヤの部屋の側面の壁が音を立てて消え去った。
最初のコメントを投稿しよう!