プロローグ

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《機械人形ーヒューマロイドー》の腕から、雷を纏い明滅する武骨な姿をした剣が飛び出る。 敵が行動に移るまで、もう数秒もない。 ユウヤには現段階で敵に対抗する手段がない。 いや、あるにはあるのだがそれを使って良いのかどうかの判断が付かない。 葛藤。 「きゅう!!」 その葛藤を見透かしたかのように、キュウがユウヤに抱えられた状態のまま無理矢理顔を上に上げてユウヤを見上げ声を上げる。 「悩んでる隙はない、ってか。判ったよ……キュウ!!」 「きゅうーーー!」 「《解放ーパージー》」 ドンッ、と敵が床を蹴りユウヤに肉薄したその瞬間、キュウから発生した銀色の光が部屋を一瞬にして包み込む。 『目標ロスト。エラー、エラー、エラー』 その光は視界のみならず、熱源探査、振動探査、音声探査、様々な機能を駆使して目標を見る《機械人形ーヒューマロイドー》からをも視覚を奪い去り動きを止めさせる。 光が徐々に収まり、機能を取り戻した《機械人形ーヒューマロイドー》の視界に写ったのは、身の丈程もある銀色の刀身を持った巨大な大剣を構えたユウヤの姿。 傍らに居た筈のキュウの姿は、ない。 『目標再発見。再行動』 その姿を確認した《機械人形ーヒューマロイドー》は再び《雷光剣》を構える。 (いくよ、ユウヤ) 「ああ、キュウ。あの人形を潰すぞ」 ユウヤは、大剣の姿に変化をしたキュウの柄から通じて頭に直接響く声に答えキュウを目の前の敵へと向ける。 『戦闘開始』
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