8人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんか老人たちとゲートボールしてるって」
「はあ、何考えてるんだよ。大体ゲートボールって。いまどきの若者がやるか?ミスマッチだろ」
「まあ、それがあいつのいいとだから」
「お前、賢治のこと良くかばうよなあ。ホントは好きなんじゃないの」
「やめてくれよ。僕と賢治とはそういうんじゃないんだ」
「なんだなんだ。顔が赤くなってるぞ。そうか、お前はそっち側の人間か」
「違うよ!」
「ムキになるところがますます怪しい。違うって言うなら、そうだな、よーし、初恋の話してみろ」
「なんだよ、それ。無茶ぶりもいい所じゃないか」
「言えないんだな。俺は言えるぞ。
俺の初恋は、幼稚園と時で、相手は同じ組の桜ちゃんのお母さん」
「その時から熟女好きだったのか」
「ああ、俺の熟女好きはそこいらの奴とは年季が違うからな。綺麗だったぞ。桜ちゃんのお母さん。
由香さんて名前でな、岩手からこっちに越してきたらしくて、『そっちは危ながら、行ったらまいね』とか『どこさいくと、こっちにきんしゃい』みたいな方言で話すんだけどそれがまた魅力的でな。
そうそう一緒に花火を見に行ったんだよ」
「それは実際には桜ちゃんとだろ」
「その時の浴衣姿がまた、似合ってて、こうグッと来たんだよな」
「お前が幼稚園の時の話だよね」
「幼稚園の途中で引っ越しちゃってな、それ以来、音信不通。
それが俺の初恋の終わりだ。
……って何語らせてんだよ」
「いや、お前が勝手に語ってたんだろ。とにかく僕と賢治はそんなんじゃないの。
って、賢治から電話だ」
最初のコメントを投稿しよう!