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「そうか」
努めて冷静に返す。
「私よりもおばあちゃんがいいんだ……」
俯く女。
やがて顔を上げた。
「じゃあ早く一緒に帰ろっ? 家の前まで一緒にね?」
「……それは男の俺が言う台詞じゃないか?」
「あなたが言わないから私が言ったの!」
どうもこの二人仲が悪いようで、結構楽しそうにしている。
「結構遠回りになるがいいのか?」
「いいよ。そんなこと気にしないし」
男の気遣いを女が断る。
「じゃあほら、行こっ」
女が手を差し延べる。
「手を繋ぐのはやめよう。いろいろ危険だ」
「いいのっ!」
手が触れ合う。
「よし行こう!」
彼女に手を引かれてこの日は終わっていく。
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