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突然、ドアノブが乱暴に回される音が響いた。
続いて、がさつに鍵穴を掻きまわす金属音。
勢いよく開かれた玄関の扉から、カオリが飛び込んできた。
「もっと、丁寧にドアを開けろよ」
そう言って僕は煩わしそうに彼女を睨んだ。
「わ!びっくりした!……リョーちゃん、いたんだ」
「僕の部屋だ。そりゃいるよ」
「あれ大学は?」
「休みだよ」
「そっか、夏休みだっけ」
カオリはそういいながら、少しサイズが小さすぎるのではないかと思わせるほど、彼女の身体のラインをくっきり表したTシャツに手をかける。
そしてすぐ近くに男の目があるにも関わらず何の躊躇もなく服を脱ぎ始めた。
僕はカオリの無防備過ぎる行動に焦り、目をそむける。
「バカ、こんなところで脱ぐなよ」
「えへへ、汗かいちゃった。クーラーつけていい?ってか、つけときなさいよ。気が利かないわねぇ」
カオリが僕のすぐ横を通り過ぎる。
シャンプーと汗の混じった匂いが顔の前を横切った。
彼女の上半身はスポーツブラしか身につけていない。
グレーの地味で色気のないスポーツブラだったが、彼女自身のプロポーションのせいでそれはひどく女性的な魅力に溢れていた。
「あっはー。涼しい~」
カオリがだらしない恰好でソファにもたれかかりながら、至福の声を漏らした。
「そんな格好で、いつまでも部屋をうろちょろするなよ。着替えるなりなんなりしろよな」
なんとも思っていない風を装い、僕は低いトーンでカオリに注意する。
「あら?なに?リョーちゃんったら、意識しちゃってたりする?」
「するか!ガサツ女」
実際は意識してしまっていたのだが、内心を悟られないように突き離したように僕は言った。
「オネガイ、モウチョットダケ、スズマセテ~」
カオリは風量を強にセットした扇風機の前に顔を持って行き、いわゆる宇宙人のような声を響かせた。
何故、こうも双子で違うのか。
それも一卵性双生児であるのにだ。
まるでアイスコーヒーと冷めたホットコーヒーだなと僕は思った。
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