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「おはよう渚ちゃん。また痴話喧嘩?」
「おはようございます!そしてさようなら!」
「ちょっと待ってよ。あっちに隠れてる氷野君も呼んで皆でお茶会しない?学校なんて明日から行けばいいじゃない?」
「何をおっしゃるウサギさん。駄目に決まってるでしょう」
ジリジリと近寄ってくる奈津子さんをなだめて、チラリと店内の時計を見上げる。
時間は既に八時十五分を迎えていた。
学校が始まる時間まで十五分しか残されていない事に気づいて渚は焦り始める。
「奈津子さん、もう時間がないのでまた帰りに寄ります!氷野君も早くしないと遅刻するよ!」
相変わらず建物の影から此方を見ている彼は、中学の時に現れたストーカー。
名を氷野祐希といった。
制服には自分と同じ校章が入っており、これからの生活に少しの不安を覚える。
そんな彼の名を初めて口にしたと気付いたのは言い終わってからだった。
「な、渚ちゃんが僕の名前を……!」
何だか感動してその場で喜び始めた彼を無視して、渚は今度こそ走り出した。
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