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沖田は混乱していた
あの彼が自ら別れを切り出すことはない、と
彼は己にべた惚れだから
普段の悪戯にも本気で怒らない、と
自惚れていたから、余計に
(やだよ、土方さん)
溢れ出そうになる涙を堪え
今しがた自室から出た彼を追って
沖田は部屋を飛び出した
――――――――――
(馬鹿だなぁ、俺もあいつも)
中庭の木の下で彼は1人、煙草を吹かしていた
そこに近付く気配にくすっと笑いそうになるのを堪え
紫煙を弄ぶ
「‥っは、は、土方さんっ‥!」
「‥もう終わったはずだろ」
「い、やでさ!あれは‥っ嘘だったんでさ!」
走ってきたからであろう、
息が上がり苦し気にしながらも
必死に言葉を紡ぎ誤解を解こうとする沖田
目には熱と共に涙も滲ませていた
その沖田を見て彼はフッと場違いな笑みを溢し
沖田を抱き寄せ耳元で囁いた
「‥知ってる。」
「えっ、?」
「午前で嘘つきの日は終わりなんだぜ?」
「‥てことは‥‥」
「そう、午後には無効。」
真実を知った沖田はわたわたし始める
(どうしよう‥俺、土方さんに酷いこと‥)
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