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この5秒間の中に、今までの色んな想いが溢れ出てきそうで辛かった。
風野さんの真面目そうな顔、整った黒いスーツ、少し長めな髪、太めの首・・・。
全てを私は愛していた。
愛していた、だから、こんな別れが来るなんて思ってもいなかった。
「ごめんね・・・」
唇を離し、私は風野さんにそう呟いた。
「謝るなよ。・・・早く行け」
「うん。じゃあね・・・」
そう言って、私はタクシーから降りた。
私の目の前には、大きなビルが建っている。
このビルの5階にあるレストランで、私は智司さんと7時に待ち合わせなのだ。
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