第序章 回想

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母さんは、3ヶ月前に事故で死んだ。 そんなに有名ではないがピアニストだった母さんは、よく外国に演奏旅行をしていた。 その日も、ある演奏会に出演するため飛行機に乗ったのだが、その飛行機のエンジンが何らかのトラブルで止まり、そのまま墜落。 飛行機の97名の乗客と8名の乗組員と共に帰らぬ人となったのだ。 その前日に俺は母さんに怒られた。 『呪い』 この一言で俺と母さんは口喧嘩になり、翌朝になってもお互い険悪な雰囲気のまま俺は学校へ、母さんは空港へ向かっていった。 事故の事は学校で知った。 全く信じられなかった。 いや、信じたくなかった。 母さんの乗った飛行機が墜落したなんて。 しかもまだ謝ってないのに。 でももう全て遅い。 だってどんなに願っても時間は戻らないから……… うちには親戚と言える親戚がいないため、色々な手続きを済ませたあと俺は独り暮らしをすることに。 その日から俺の家に帰ってくる人間は、一人だけになった。  
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