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「し、しまった……」
冷蔵庫の扉を開けたまま俺は固まっていた。
なんということだっ!!
「昨日のタイムセール行くの忘れてたぁぁぁぁっ!!!」
く、くそ……
昨日なら卵がいくつ買っても1パック100円だったのに!
今日の朝は贅沢にふわふわのオムレツにしようと思ってたのに!!
冷蔵庫には小ぶりの卵がポツンと 寂しげに転がっていた。
これではスクランブルエッグ(少量) か目玉焼きにしかできないじゃないか!!!
これが世の言う、苦渋の選択なのか……!
悩みに悩んだあげく。
「……ふむ、……目玉焼きにしよう……」
フライパンを火にかけ、調理開始。
じゅー…。
卵の焼けるにおいが台所に漂い始める。
よし、出来上がり。
調理時間、盛り付け含めて約3分。
「いただきます。」
はぐっ!
もぐもぐもぐっ…。
ゴクリッ
「ごちそうさま。」
朝食時間、約30秒。
「………また最短朝食時間を更新してしまった。」
そりゃ目玉焼き一つじゃしょうがない。
――こんな風に俺は、独り暮しを満喫している。
そう、満喫できるようになったのだ。
少々貧乏染みてはいるけど………
事故があってから俺は、ショックで一時的に学校を登校拒否し、家から外に一歩も出なかった。
今の状態からは考えられないほどその時の俺は やつれていた。
でも、そんな俺を支えてくれるお節介な連中のおかげで、こうしてなんとか生活が出来ている。
とくにアイツは事故直後から家によく来てくれて俺を必死に励まし、色々助けてくれた。
アイツがいなかったらたぶん俺は……。
「まだ早いけど学校行くか……」
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