第一章

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人………ううん。 祥くん。初めての友達…… あ………そういえばチャイムって、 とっくに鳴ってる…!? 「授業!!!」 「サボろーよ」 祥くんが私のスカートの裾をキュッと握る。 「ダメです」 「俺と一緒にいるの嫌なの」 「…何でちょっと真剣な目なんですか?」 少し続く静寂。 祥くんはちょっと泣きそうになってる。いや、涙ぐんでる。 ど…うしよう……! 初めての友達なのに!泣かせるなんて…… こういう時、なんて声かければ…! ザァッと吹いた風で、祥くんの涙が落ちる。 私も泣きたい…… また風が吹く。 それと同時に祥くんの口から言葉がもれた。 「音が―――」 「ごめんなさい…聞こえなかった。もう一度言ってくれますか?」 祥くんがもう一度言う。今度はハッキリと。 「音のことが好き……」 「………へ?」 その瞬間、祥くんはワァワァ泣き出してしまった。 「あ゛ずがひぃー!!」(恥ずかしいー!!) なんて少年みたいなんだろうか。 でも、教室にろくにいなかった私をすきなんて―――― 「ずっ―――じゅっお好っ―ぎ、だたの゛ー!!!」 「とりあえず、泣き止んで下さい!」
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