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ディアスが地面に降りると少し遠くにいたシキが近付いてきた。
《ディアスの人型、すっごい久しぶりだなぁ。
やっぱり綺麗だね》
《……ありがとうございます。
シキ様に褒められても素直に喜べませんが》
シキは瞳の色を戻したことにより、より一層神秘的な雰囲気が増し、視線があってしまえば見惚れてその場から動けなくなってしまう。
それがたやすく分かる程に美しい姿だった。
ただ、素直に喜べないと言ったディアスの表情は抑えきれない喜びで溢れていたのだから満更でもないのだろう。
《それはともかくもう行きましょう》
シキが自分の顔を見てずっと微笑んでいるのに気恥ずかしくなり、ディアスは顔を背けながら少し早口で言った。
《うん、でも方向はこっちだよ?》
《えっ!あ、いや私は道を間違えた訳ではありませんよ?
ただ、恥……いえ、何でもありません》
ディアスの慌てようを眺めているシキは、一人でいた僅かな時間に見せた思い詰めた表情とは反対の穏やかな顔をしている。
そして踏ん切りが着いたのかしっかりとした足取りでさっき自分が指差した方向へと歩き出した。
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