第九章

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ウルの寝息だけが響く静かな部屋に、ノックの音が加わったのはリュウが出ていってから10分位経った時だった。 レイがまだボンヤリしたまま扉を開けると、そこにはカイ達が全員揃っていた。 「えっと……どうしたの?」 漸く思考を止め、ただ来た人達を眺める。 リュウと同じくらい、いや……嫌悪感ではなく無関心な分、リュウよりも冷たく見える態度に戸惑いながらもエンドが遠慮がちに言った。 「いや、さっきの生き物の上に乗ってたのシキだろ? それについて聞きたくてな」 「……確かにあれはシキだったけど僕達も何も聞かされてないから」 部屋にあげる素振りもなく、淡々と話すレイに何を言ったらいいのかわからなくなったのか、全員が俯いてしまった所に獣の唸る声が割って入った。 [レイ、落ち着け。とりあえずこいつらに入って貰ったらどうだ? もしかしたら、歌のこととか“ソウワ”って奴についてわかるかもしれないだろ?] ウルに言われて初めて自分が取り乱してたことに気付いたレイは一回深呼吸するとにっこりとあどけない笑顔を作った。 「ごめん!寝ぼけてて。ずっと立ってるのは疲れるし、中に入ったら?」 少し無理があったが、幸いなことにウルの登場で固まっていた5人はその違和感に気を回す余裕がなかった。
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