第九章

5/13

469人が本棚に入れています
本棚に追加
/186ページ
「な、なぁ?その犬、噛まないか?」 恐る恐る指をウルへと向けるエンドにウルが唸り声をあげた。 [オレは狼だっ!] 「大丈夫だよ?あ、これは狼なのに犬って言われて怒ってるだけだよ」 ウルの声を代弁するように説明すると、無理矢理部屋へと押し込んだ。 「狼なんてどこから連れて来たんですか? 昨日はいませんでしたよね?」 ユーリはレイの言うことを信用したのか恐れる様子もなく聞く。 「いたよ。昨日から」 レイはその他にも次々と聞かれる質問をはぐらかし、椅子に皆を座らせた。 レイの座った場所の足元にはウルが臥せる。 「ウ……この狼の話じゃなくてシキの話だよね?」 「……そう言えばそうだったわね。 早速だけどレイはシキに何も聞いてないのかしら?」 まだ恐いのかサラはウルとは目を合わせようとはせずに言った。 隣でルナは今にも触りたそうにしていたが。 どうやら一番は猫だが、動物なら何でも好きらしい。 「シキ本人からは何も聞いてないよ。 ただ、あの生物は龍っていうんだって」 「龍、ですか? ……少し待って下さい。 どこかで聞いた記憶があります」 頭を指でリズムよく叩き始めたユーリをレイは期待の眼差しでみた。 エンドの「リュウなら人間だぞ?何言ってんだ」と言う言葉は全員が無視をした。
/186ページ

最初のコメントを投稿しよう!

469人が本棚に入れています
本棚に追加