第九章

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“人間よ。元々、此処は我等の地。なぜに住む場を広げようとするか” 龍の長たる使者は重々しく言った。 ソウワ、それに怯むことなく主張を述べる。 “人口が増え、このままでは生活出来ぬ故。 我等もいさかいを望んだ訳ではない” その死をも恐れぬ堂々たる物言いに龍の長、感銘を受け人間に土地をわけることを誓う。 翌日、力在るモノ達の姿は半分の土地と共に跡形もなく消え、人間は生きる為の土地を得た。 平和をもたらしたソウワを歓喜の声が出迎え、ソウワを王に望む。 快諾したソウワは神守の役職になぞらえ国を神と置き、生涯を通し国を守り続けたという。 神とおかれたこの国に名前はなく、“神国”又は“始まりの国”と呼ばれるようになった。 ソウワは死後もその役職通り国を見守り続け、危機に陥った折りには助けに天から降りてくるという──
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