第九章

11/13
前へ
/186ページ
次へ
「だけどよぉ、龍って人間の敵なんだろ? 何で人間のシキを乗せてたんだ?」 「最後に認めてたじゃない。 でも、龍みたいな生物は消えたはずなのに何でいたのかしらね」 「それに、“力在るモノ”ってなんなのでしょうか? 魔物はまだ存在してますよね?」 考えれば考える程に疑問が増えていくこの問題。 ただ、他よりも情報を多く持っているレイとウルはある一ヶ所についての推測は出来ていた。 神子 ──シキは人間と敵対する立場についたのではないかと。 そうすれば、ソウワの名に取り乱したのも、ギンやディアス──力在るモノと仲が良さげなのにも納得がいく。 [父さんは真実を知ってるはずだけど、絶対答えてくれないしな] 考えても考えてもわからない問題にウルは頭を伏せた。 「あの、ね?家に代々伝わる話みたいなのがあって……初代ビュリダン家の当主は人間の形をとったドラゴンと子をなしたって。 だから、魔物と力在るモノって別物なんじゃないかな?」 今まで話を流し聞きしていたレイはその話にはっと顔をあげた。 シキから聞いた自分の先祖の話と余りに酷似した話に。 「それ本当!?」 「う、うん」 いきなり食い付いてきたレイに驚きながらもルナはコクコクと頷いた。
/186ページ

最初のコメントを投稿しよう!

469人が本棚に入れています
本棚に追加