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「ね、いいでしょ?もう決定ね」
と笑みを浮かべながら言う裕翔は俺に拒否権を与えないらしい。
「僕ね、ずっと病院で過ごしていて友達が出来たこと無かったの。だから初めての友達がリョウスケなんだよ。」
と嬉しそうに言う裕翔。こいつの記憶は鎌で見た。見舞いに来る人もおらず、一人部屋でずっと窓を見ながら過ごす姿。
母親は裕翔を生んですぐ亡くなり、父親は裕翔の病気の治療の為に働き過労死をしてしまった。今の治療費は親戚が出してるが、誰も見舞いに来たことはない。
「何で、お前は生きたいと思うんだ?」
そんな状況が今まで続いたら俺は生きることを諦めるだろう。あの時のように…
「お前じゃなくって裕翔ね。だって諦めたくないもん。まだ全然楽しめてないんだよ。やりたいこといっぱいあるんだから、生きたいよ」
裕翔はどうしてこんな風に強いんだろう。もっと早く裕翔に会えてたらと馬鹿な考えが出てきたが、頭を振りそんな考えを振り払う。
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